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産業用防水カメラ

目次

1.カメラの防水性、防塵性とは

2.カメラの防塵防水規格 『IP保護等級』とは

3.産業用防水防塵カメラのメリット、デメリット

4.防塵、防水カメラを選定上のご注意

5.防塵・防水カメラの活用事例

6.まとめ

 

 

 

 

1.カメラの防水性、防塵性とは

 

産業用カメラや工業用カメラは、その名の通り工場のライン工程や様々な過酷な環境で使用されています。

これらの環境では、粉塵や水分がカメラに侵入する可能性が高く、その結果、故障や性能低下が起こることがあります。

したがって、カメラに防水・耐水性や防塵性が求められる場面は多く存在します。

 

防水性・防塵性とは、「外部からホコリや水分がカメラ内部に侵入せず、内部の機器に有害な影響を与えない構造を持つこと」を指します。

特に工業用や産業用カメラでは、防塵性・防水性がしっかりと備わっていることが、カメラの信頼性を大きく左右します。

 

機器の内部にホコリや水分が侵入すると、カメラの動作に悪影響を与え、最悪の場合は故障や事故の原因となることがあります。

そのため、使用環境に応じた防塵性・防水性を持つカメラを選定することは非常に重要です。

この選定には、IP保護等級という国際規格が基準となります。

 

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2.カメラの防塵防水規格 『IP保護等級』とは

 

国際的には、IEC(国際電気標準会議)規格IEC144、IEC529およびDIN40 050で機器の防塵性・防水性が定義されています。

これに基づき、日本でも日本工業規格および日本電機工業会が、IEC529に準拠したIP等級を規格化しています。

IP等級は、「IP●●」という形式で表記されます。

前の数字が粉塵に対する保護等級を示し、後の数字が防水に対する保護等級を示します。

<p例えば、IP67という等級は、防塵性能が最高レベルの「6」であり、防水性能が一時的な水没に耐えられる「7」であることを意味します。

 

具体的なIP等級については、以下のように分類されています。

防塵性能(第一数字):

0 保護なし
1~4 直径1mm以上の固体に対する保護
5 粉塵の侵入を防ぎ、機器の正常な動作を妨げない
6 完全な防塵保護

 

防水性能(第二数字):

0 保護なし
1~4 水滴や噴水からの保護
5 全方向からの噴水に対する保護
6 強力な噴水に対する保護
7 水深1メートルの水中に一時的に沈めても問題ない
8 長時間の水没でも問題ない

これらの等級に基づき、使用する環境に適したカメラを選定することが重要です。

特に、工業用や産業用の現場では、粉塵や水が飛び散る可能性が高いため、IP67相当の防塵・防水カメラが多く選ばれています。

 

 

 

 

3.産業用防水防塵カメラのメリット、デメリット

 

産業用防塵・防水カメラのメリット

防塵・防水カメラは、過酷な環境でも信頼性を発揮し、以下のようなメリットがございます。

1:故障リスクの低減

防塵・防水に対する対策が施されているため、粉塵や水分がカメラ内部に侵入するリスクが大幅に低減されます。

これにより、カメラの故障リスクが低くなり、長期間にわたり安定したパフォーマンスを維持することが可能です。

 

2:過酷な環境への適応力

工場の加工工程では、切削加工やフライス加工の際にクーラント(冷却液)が使用されることがあります。

このような場合、クーラントや切粉がカメラに飛び散る可能性があるため、防塵・防水カメラが有効です。

また、食品工場では、製造ラインの清掃や消毒時に水や洗浄液が飛び散ることがありますが、防塵・防水カメラであれば安心して使用できます。

 

3:寿命とコストパフォーマンスの向上

防塵・防水カメラは、過酷な環境でも高い耐久性を発揮するため、頻繁なメンテナンスや交換の必要がなく、結果的にコストパフォーマンスの向上にも寄与します。

 

 

産業用防塵・防水カメラのデメリット

一方で、防塵・防水カメラにはいくつかのデメリットも存在します。

1:コストの増加

防塵・防水構造を持つカメラは、通常の一般的な産業用カメラよりも製造コストが高いため、価格も高くなる傾向があります。

これは、特殊なシール材や防水加工が施されているためです。

 

2:設置および運用上の注意

防塵・防水性を確保するためには、カメラだけでなく、レンズや接続部(Cマウント部)にも防水対策を施す必要があります。

これには、防水レンズチューブや防水パッキンの使用が必要です。

また、寒暖差が大きい環境では、結露が発生しやすく、乾燥剤の使用などの対策が求められます。

 

 

 

 

4.防塵、防水カメラを選定上のご注意

 

このように御用途によって産業用防塵・防水カメラを選定するのはメリットが大きいのですが、注意点を解説します。

 

・レンズ及びレンズとカメラの接合部(Cマウント周辺)の防水対策

防塵・防水カメラはカメラだけに防塵、防水対策が施されているだけでは意味がありません。レンズやレンズとカメラの接合部(Cマウント部)にも対策が必要です。

弊社の防塵、防水カメラには防水レンズチューブが付属しており、固定焦点(CCTV)レンズ全体を覆える構造となっております。

 

 

 

 

 

また防水レンズチューブには各部にパッキンが付属しております。

 

 

レンズ取付動画 ※固定焦点レンズは別売です。

 

 

 

・結露の対策

防水レンズチューブ内の結露はカメラ内部の空気と外気温の温度差が急激に大きくなった場合やカメラ内の湿度の高い場合に発生しやすくなります。

よって、寒暖差が大きく湿度の高い環境では特に注意が必要です。

 

対応としては、防水レンズチューブ内に乾燥剤を入れて、湿度を下げるのが一般的です。

 

 

ケーブル・コネクタ部分の対策

カメラ本体の防塵防水対策だけで十分ではなく、ケーブルやコネクタ部分を含めて防塵防水対策が必要です。

弊社の防塵、防水カメラにはIP67相当の防水仕様のLANケーブルやトリガーケーブルが付属しております。

 

 

 

弊社、メガピクセル対応の固定焦点レンズはサイズ的に全て防水チューブレンズ内に入ります。

 

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5.防塵・防水カメラの活用事例

 

防塵・防水カメラは、様々な産業や工業の現場で活躍しています。以下に、いくつかの具体的な活用事例を紹介します。

1:食品工場での品質管理

食品工場では、製造ラインの清掃や消毒時に大量の水や洗浄液が使用されます。

このような環境で、防塵・防水カメラは製品の品質管理や異物検出に活躍しています。

カメラが防水構造を持つことで、清掃時の水や洗浄液の影響を受けず、常に高品質な画像を提供します。

 

2:金属加工現場での監視

 金属加工現場では、切削加工や研削加工の際にクーラントや切粉が飛散することがあります。

防塵・防水カメラは、これらの厳しい環境下でも安定した監視や検査を行い、加工精度の向上や不良品の早期発見に貢献しています。

 

3:屋外のセキュリティ監視

屋外の監視カメラとしても、防塵・防水カメラは多く利用されています。

特に、雨や風が強い場所では、IP67等級のカメラが設置され、厳しい気象条件でも確実に監視を続けます。

これにより、セキュリティの強化や安全性の向上が図られます。

 

4:海洋環境での監視や研究

防塵・防水カメラは、海洋環境での監視や研究にも利用されています。

船舶や海上施設に設置されたカメラは、塩水や湿気に強い構造を持ち、長期間にわたり安定した性能を発揮します。

これにより、海洋生物の観察や環境モニタリングが行われています。

 

 

 

 

 

まとめ

産業用防塵・防水カメラは、過酷な環境でも信頼性の高いパフォーマンスを発揮し、様々な業界で活躍しています。

防塵・防水性を備えたカメラは、粉塵や水分が飛び交う環境でも安心して使用できるため、品質管理や安全性の向上に大いに貢献します。

ただし、通常のカメラに比べて価格が高くなる傾向があるため、導入時にはコストと必要性を十分に検討することが重要です。

 

防塵・防水カメラを選定する際には、設置環境や使用目的に応じたIP等級を確認し、適切なカメラを選ぶことが必要です。

また、レンズや接続部にも防水対策を施し、結露対策やケーブル・コネクタ部分の保護にも注意を払うことで、長期間にわたり安定した運用が可能となります。

 

防塵・防水カメラの活用事例を参考にし、最適なカメラを選定することで、製品やプロセスの品質を向上させ、工場や施設の安全性を高めることができるでしょう。

 

また産業用カメラハウジングを使用することで、カメラそのものに防塵・防水機能を持たせる代わりに、保護ハウジングでこれらの機能を付与する方法があります。

 

 

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