目次
■松電舎のラインスキャンカメラであれば付属ソフトで簡単に円筒の撮影が可能です!
■ラインスキャンカメラとは
ラインスキャンカメラは対象物またはカメラ自体が動くことで、複数のラインを連続して撮影し、それらをつなぎ合わせて対象物の全体像を構築します。
■ラインスキャンカメラは円筒の撮影に向いています!
円筒形状の撮影は下記点でラインスキャンカメラが適しています。
●円筒形状の全面をシームレスに撮影が可能
ラインスキャンカメラでは、円筒を回転させながらラインごとに連続的に撮影できるため、
展開画像としてシームレスに側面全体を取得できます。
(エリアスキャンカメラでは、一度の撮影で平面的な画像を取得するため、円筒の側面全体を撮影するには複数回の撮影やカメラの移動が必要になります。)
●均一な照明環境での撮影が可能
ラインスキャンカメラでは1ラインずつ順番に撮影するため、
照明を最適な位置に配置しやすく、均一なライティングで撮影できます。
(エリアスキャンカメラでは、円筒形状のものを一度に撮影すると、カメラと照明の角度によって影や明るさのムラが発生しやすくなります。)
●高解像度な静止画を取得可能
スキャンする幅は2K(2048ピクセル)や4K(4096ピクセル)、
長さは自由に設定(上限あり)できるので高解像度の側面の展開図が得られます。
■ラインスキャンカメラ導入のハードルが高い理由
しかしラインスキャンカメラは下記点で導入ハードルが高いカメラです。
・移動機構: 被写体を動かすコンベヤーやスライダー、またはカメラを動かすシステムを用意。
・同期装置: エンコーダーなどを用いて、移動速度と撮影タイミングを同期させる必要がある
・画像処理のシステム開発:カメラのSDKを基にしたシステム開発
など
以上の点からラインスキャンカメラは導入のハードルが高いカメラとされています。
し・か・し!
■松電舎のラインスキャンカメラであれば付属ソフトで簡単に円筒の撮影が可能です!
試しにスプレー缶の側面の撮像の実験をしてみました。
☆用意するもの
・カメラ
・レンズ
・照明:ワークの長さ以上の常時点灯のバー照明を使用して下さい。
※パルス式の照明だと、照明の点滅が反映され縞々な映像となってしまいます。
・回転台:今回は市販の電動ろくろを使用しました。
・その他電源やケーブルなど
☆動作確認ソフト(MVS)の使い方について
カメラをインストールすると動作確認ソフトMVSも自動的にインストールされます。
カメラのあらゆるパラメーターの確認ソフトのため、設定項目は非常に多くありますが
スキャン映像を取得だけなら設定するのは下記3点(+回転速度)のみです!
・Height(長さ方向のピクセル数)
・Exposeure Time (明るさおよびスキャン間隔の調整、シャッタースピード=10000000/Exposure Time)
・Gain (明るさの調整)
☆ピントの調整について
実際にワークを回転させながら、カメラを再生する(スキャンモードにする)ことで映像が得られます。
その状態でエリアスキャンカメラと同様、レンズのピント調整や距離の調整を行ってください。
ピント調整の際はHeightの数値を小さくすることで、撮像速度が上がるので調整しやすくなります。
☆静止画の保存について
スキャンが完了するごとに、映像がそのスキャン映像で停止します。その間にスキャンを停止し、静止画を保存することが可能です。
☆撮影映像の調整について
ラインスキャンカメラの映像は回転速度と明るさを変えると様子が変わります。
回転速度を遅くした/明るさを暗くした(シャッタースピードが速くなった)場合
⇒次のシャッターを押すタイミングまでの移動量が減るので側面全体を映すピクセル数が増えます。全体を撮像するには時間がかかり、容量の大きい映像になりますが、映像が伸びるため、傷なども発見しやすくなります。
回転速度を速くした場合
⇒上記とは逆の現象が起き、縮んだ映像になります。
映像が縮む分、側面全体を映すピクセル数が減るため、全体を撮像する時間および画像容量を削減できます。
逆に傷なども縮んでしまいます。
縦横比を正確に合わせることは回転速度や明るさの調整をシビアにしないとできませんが、
円筒側面の全体を得るだけであればラフな調整で可能です。
回転速度や露光時間を調整して、ベストな撮像をしてください。
■まとめ
松電舎のラインスキャンカメラなら、カメラやプログラミングの知識がなくても、
動作確認ソフトを使用して映像を取得することができます。
調整するパラメーターは
・Height(長さ方向のピクセル数)
・Exposeure Time (明るさおよびスキャン間隔の調整)
・Gain (明るさの調整)
の三つのみです!
映像の伸び縮みがあるため、正確な測定などはできませんが、
観察程度であれば十分な映像を得られます。
また、今回円筒の側面を撮像しましたが、移動機構さえあれば平面長物の撮影も可能です。
走るプラレールを撮影した写真です。
このような幅と高さの比が極端なものも、ラインスキャンカメラでの撮影が有効です。