産業用カメラハウジングを使用するメリット・デメリットについて
目次
世の中には防水カメラが多数存在しておりますが、なぜカメラハウジングが選ばれるのかを
メリット・デメリット踏まえてご説明いたします。
産業用カメラは、製造業や工場ライン、建設現場、公共施設など、さまざまな過酷な環境下で使用されるため、カメラ自体の保護が極めて重要です。
このため、防塵・防水カメラやカメラハウジングの利用が一般的です。
防塵・防水カメラは、その名の通り、カメラ自体に防塵や防水の機能が組み込まれたもので、一方の産業用カメラハウジングは、通常のカメラを外部環境から保護するためのケースやカバーを指します。
以下では、防塵・防水カメラを使用する場合と、産業用カメラハウジングを使用する場合のメリットとデメリットを詳しく比較します。
産業用カメラハウジング | 産業用の防水カメラ |
産業用カメラハウジングを使用するメリット
1:コストの削減
防塵・防水機能を備えたカメラは、高度な技術が必要なため、その分価格が高くなりがちです。
一方、産業用カメラハウジングを使用すれば、一般的なカメラを選定し、ハウジングを追加するだけで、同様の保護機能を得ることができます。
これにより、初期投資コストを大幅に削減できます。
また、カメラが故障しても、ハウジングは再利用可能なため、長期的にはコストパフォーマンスが向上します。
2:カメラの選択肢が広がる
防塵・防水カメラは特定の機能を持った製品に限定されることが多いですが、ハウジングを使用することで、より多くのカメラオプションを選ぶことが可能になります。
これにより、解像度、感度、フレームレートなど、用途に応じた最適なカメラを選定できるため、より柔軟なシステム設計が可能になります。
3:設置環境への柔軟な対応
産業用カメラハウジングには、冷却機能や加熱機能、温度センサー、ワイパーなどの追加オプションがある場合が多く、過酷な温度条件や悪天候にも対応できます。
このため、極端な温度変化がある場所や、塩害や砂塵の多い場所など、特別な保護が必要な環境でも安定した運用が可能です。
4:メンテナンスの容易さ
カメラハウジングは、内部に設置されたカメラを保護しつつ、メンテナンスを容易にするアクセス機能を備えています。
これにより、カメラの修理や交換が必要な際でも、ハウジングを外すことなく容易に対応できるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。
また、ハウジング自体も容易に交換や修理ができるため、システム全体の稼働率が向上します。
5:カスタマイズの可能性
産業用カメラハウジングは、特定の環境や条件に合わせたカスタマイズが可能です。
例えば、紫外線や化学薬品からの保護が必要な場合には、ハウジングに特殊なコーティングを施すことができます。
また、特定の取付け場所に合わせた形状のハウジングを選定することもできるため、設置場所や用途に応じた柔軟な対応が可能です。
産業用カメラハウジングを使用するデメリット
1:サイズと重量の増加
ハウジングを装着することで、カメラ全体のサイズと重量が増加します。
これにより、設置場所が限られたり、移動が難しくなることがあります。
特に狭いスペースや軽量化が求められるシステムにおいては、ハウジングの選定に注意が必要です。
また、重量が増すことで、取り付けに必要な支持構造が強化される必要があり、結果として設置コストが増加する可能性もあります。
2:設置の複雑さ
ハウジングは単なるカメラの保護機能だけでなく、冷却や加熱、光学的な補正などの機能を追加することがあります。
これにより、設置や配線が複雑になることがあり、特にハウジングとカメラの組み合わせによる動作確認や調整には時間と労力が必要です。
また、システム全体の安定性を確保するために、専用の電源や制御装置が必要になることもあります。
3:メンテナンスの手間
ハウジング内のカメラにアクセスするためには、ハウジングを開ける必要があり、カメラ単体に比べてメンテナンスがやや手間になります。
また、ハウジング自体も定期的なメンテナンスが必要であり、レンズカバーの清掃やシールの交換など、追加の作業が発生します。
のため、長期的な運用コストや労力を考慮する必要があります。
4:冷却・放熱の課題
カメラハウジングは、外部環境からカメラを保護する一方で、内部に熱がこもりやすいという問題があります。
特に高温環境下では、ハウジング内に適切な放熱対策が施されていないと、カメラのパフォーマンスが低下したり、最悪の場合、機器の故障につながることがあります。
そのため、熱対策を施したハウジングを選定するか、冷却システムを別途設置する必要があります。
松電舎が扱っておりますカメラハウジングは特許取得済みの優れた放熱性を備えております。
上記で説明しました放熱の課題はクリアできております。
5:追加のコスト
ハウジング自体の購入や設置にコストがかかることは避けられません。
また、ハウジングのオプション機能を追加する場合、その分のコストも増加します。
さらに、ハウジングのメンテナンスや修理に伴うコストも考慮する必要があります。
特に高機能なハウジングほど、設置や維持管理に関わるコストが高くなる傾向があります。
防塵・防水カメラを使用する場合との比較
防塵・防水カメラを使用する場合、カメラ自体に防塵や防水機能が備わっているため、追加のハウジングが不要となり、設置が簡単である点が大きなメリットです。
また、カメラ単体のサイズや重量が軽く抑えられるため、狭いスペースでも設置しやすく、設置コストも低減できます。
しかし、防塵・防水カメラは高額であり、機能や性能の選択肢が限られているため、特定のニーズに合ったカメラを選定するのが難しい場合があります。
また、厳しい環境条件(例えば、極端な温度や湿度の変動がある場所)では、カメラ単体では対応しきれないケースもあるため、結果的に外部保護が必要になることもあります。
一方で、産業用カメラハウジングを使用することで、カメラの選択肢が広がり、コスト削減や設置環境への柔軟な対応が可能になります。
しかし、サイズや重量の増加、設置やメンテナンスの複雑さ、追加のコストといったデメリットも存在します。
まとめ
産業用カメラハウジングは、防塵・防水カメラに代わる柔軟な保護手段を提供しますが、その選定には慎重な検討が必要です。
ハウジングの導入は、コスト削減やカメラの選択肢を広げる一方で、設置やメンテナンスの手間、サイズや重量の増加などのデメリットも考慮する必要があります。
特定の環境や用途に応じて、最適なカメラとハウジングの組み合わせを選定することが、システムの長期的な成功に繋がると言えるでしょう。