2024年10月17日

USB/GigEカメラの映像がカクカクする際の原因と確認事項

■はじめに

映像の滑らかさを表す指標にフレームレートがあります。

フレームレートとは1秒当たりのコマ数を指します。

一般的に地デジの映像などは30fps(frame per second)で、

滑らかな映像かどうかの一つの判断基準になります。

また、個人の感覚で変わりますが15~20fps程度でもそれほど違和感のない映像となります。

映像がカクカクしているということは、フレームレートが低いということです。

フレームレートが低い原因や確認事項について記述します。

 

■原因と確認事項

①カメラ自体の最大フレームレート

②ピクセルフォーマットがBayer8bit以外で設定していないか

③ポートが適したものであるか

④規格以上の長さのケーブルを使用していないか

⑤ハブを使用して他の機器とポートを共有していないか

⑥露光時間を長く設定していないか

⑦PCスペックは十分か

 

 

 

①カメラ自体の最大フレームレート

産業用カメラはカメラごとに最大フレームレートの仕様があります。

一般に、解像度が大きいカメラほど最大フレームレートが小さくなり、

もともと30fps以下のものもあります。

カメラの仕様をご確認ください。

 

例)USB3.0カメラCSシリーズの仕様

カメラ表

 

カメラの仕様通りのフレームレートが出ない場合下記原因が考えられます。

 

 

 

②ピクセルフォーマットがBayer8bit以外で設定していないか

上記仕様のフレームレートはBayer8bitを設定した場合のフレームレートとなります。(※1)

ピクセルフォーマットにより最大フレームレートが変わります。

最大のフレームレートが必要な場合はBayer8bitを設定してください。

ただしソフトウェアによっては使用するカメラのイメージフォーマットが決まっており、

それによりフレームレートが仕様通りの速度が出ない場合があります。

 

 

 

③ポートが適したものであるか

USBポートやLANポートには規格があります。

規格のグレードが低いポートを使用するとフレームレートが落ちてしまいます。

 

例えば、USBの規格ではUSB3.0はUSB2.0の約5倍の通信速度があるため

USB3.0カメラをUSB2.0につなぐとフレームレートが1/5ほどに落ちてしまいます。

例)USB3.0カメラを

USB3.0につないだ場合:フレームレート11.11 USB2.0につないでしまった場合:フレームレート 1.7
3.0 2.0

 

 

参考)USB3.0カメラを接続するパソコンのポートについて

 

また、GigEカメラは最大1Gbpsの帯域(データの伝送速度)のため、

接続するLANポートも1Gbps(以上)のポートを使用してください。

 

 

 

④規格以上の長さのケーブルを使用していないか。

ケーブルには長さの規格・推奨規格があります。

USB2.0:最大5m

USB3.0:最大3m

Cat6A LAN:最大100m

 

これ以上の長さの場合、フレームレートを含めた安定した動作は規格上保証できません。

 

その他、使用するケーブルが原因の場合もあります。

ただし、推奨規格の長さ上限ギリギリの場合、カメラとケーブル・PCとケーブルの相性により

速度が出ない場合があります。

また、これまで正常に使えていてもケーブルの断線などの劣化により

パフォーマンスが悪くなることもあります。

このような場合ケーブルを変えてみると解決する場合があります。

 

 

 

⑤ハブを使用して複数台のカメラをつないだり他の機器とポートを共有したりしていないか

一つのポートに一般のハブを使ってカメラやの機器を複数台つないだ場合、

帯域を食い合うため、本来のフレームレートが出なくなります。

その他、映像にノイズが乗ったりするなどしてしまいます。

 

 カメラとPCのポートは1:1でつなぐようにしてください。

 参考)カメラ複数台をPCに接続する方法

 複数台カメラを1台のパソコンに接続する際の注意点とオススメ

 

 

 

 

露光時間を長く設定していないか

カメラ映像は露光時間(Exposure Time)を長くすることで明るくすることができますが、

長く設定しすぎるとフレームレートが落ちてしまいます。

 

フレームレートを維持しつつ明るい映像を得るためには

 ・レンズに絞りを解放する(※被写界深度が浅くなる)

 ・カメラにGain値を上げる(※上げすぎるとノイズがのる)

 ・照明を設置する

 

などの対策が必要です。

 

 

 

PCのスペックは十分か

PCのスペックが動作環境を満たしていない場合、フレームレートが低くなったり、

カメラと接続するソフトの挙動が遅くなったりします。

特に、過去のOSをアップデートして最新OSに更新したPCの場合、

当時のCPUやメモリを搭載しているため、動作環境を満たしていないことがあります。

カメラとソフトウェアに動作環境及びPCスペックをご確認ください。

 

まとめ

フレームレートが低い時に映像がカクカクします。

 フレームレートが低い場合、当記事を参考に確認してみてください。

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