マイクロスコープでの斜め観察時の注意点
マイクロスコープの斜め観察オプション
マイクロスコープは基本的に真下にあるワークを観察するように設計されていますが、
3Dアームやユニバーサルスタンドなどのオプションを装備すれば斜めや真横からの観察ができます。
斜めからの観察によって、傾斜がある傾斜がある対象の観察や、真上からの観察では
観察できない対象の観察も可能となります。
3Dアーム使用時 | ユニバーサルスタンド使用時 |
斜めから観察が必要なときとは
斜めからの観察が必要な場合は大きく分けて2パターンあります。
パターン1: もともとワークの観察箇所が斜めになっている場合
パターン2: 観察箇所が上からの観察ができない場合
パターン1の場合、観察面とマイクロスコープが平行であれば特に問題なく使用できます。
ただしパターン2のような場合、注意点が何点かあります。
斜め観察時の注意点
①ピントが合わない場所がある
②計測に誤差が生じる
③同軸照明での観察
④フォーカス合成がうまくいかない
①ピントが合わない場所がある
マイクロスコープはピントが合う距離(作動距離,WD,ワーキングディスタンス)が決まっています。そのため例えば斜め観察で平面部を観察する場合、場所によって距離が変わるため、下のように中央にピントを合わせると周囲部分はピントが合わなくなってしまいます。
②計測に誤差が生じる
マイクロスコープでキャリブレーションを行えば計測が可能です。ただし斜めになっているので
実際の長さと計測値が異なってしまいます。
1000um方眼3マス(3000μm)を計測しましたが計測結果が2500μmになりました。
③同軸照明での観察
同軸照明はメッキ表面などの平面反射物の観察に適した照明です。同軸照明からワークへ照射された光が正反射して戻ってきてカメラセンサーがとらえ、その映像が映し出されます。
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同軸照明型マイクロスコープの仕組み | 同軸照明を使用した金属表面の観察 |
斜めから観察した場合、カメラに光が戻ってこないため、同軸照明で観察したような映像は得られません。
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同軸照明マイクロスコープの斜めイメージ |
同軸照明を斜めから使用した金属表面の観察 (ほとんど何も見えません) |
④フォーカス合成がうまくいかない
高機能画像処理計測ソフトウェア MFShipを使用すればマイクロスコープの高さを変えてピントを調整しながら、全体的にフォーカスが合った映像を得られます。これはワークに対してマイクロスコープの距離のみが変わるため実現できる機能です。
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しかしながら、斜めからの観察の場合高さをを調整する高さだけでなく、視野範囲が変わってしまいます。そのため、合成機能がうまく機能しません。
まとめ
3Dアームやユニバーサルスタンドを使用することでマイクロスコープで
斜めから観察することが可能です。
ただし、斜めからの観察には注意点がありますので、注意点を考慮に入れてご使用ください。