目次
1.デンドライトアームスページングとは
デンドライトアームスペーシングとは、アルミニウム合金の組織を評価するために用いられる測定方法です。
デンドライトとは凝固した金属の結晶が樹枝状の形態をしている樹枝状結晶のことです。
主軸の1次アームとこのアームの側面に発達する2次アームが樹枝状に観察されます。
アームの中心間距離を測定することでデンドライトの密度や形状を表す指標となります。
これは金属の凝固速度や冷却速度の推定や結晶析出物の分布などに影響されます。
デンドライトアームスペーシングを測定することで鋳物の品質や機械的性質が判明するため
近年、非常に重要な検査となってきています。
2.デンドライトアームスページングの測定方法
一般的な金属組織観察と同様で前処理を行い、顕微鏡画像で行うことができます。
前処理の主な工程は、
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- ①切断
- ②樹脂埋込
- ③研磨
- ④鏡面仕上げ
- ⑤薬品によるエッチング処理
- ⑥水洗
- ⑦ドライヤーで水分除去
です。
前処理工程だけでも相当な労力と時間がかかります。
また前述した前処理後に、顕微鏡やマイクロスコープの画像を使って、デンドライトアームスペーシングの測定となります。
デンドライトアームスペーシングを測定する方法には、下記の2種類があります
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・2次枝法
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・交線法
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2次枝法とは、2次アームが整列している部分を選びその間隔の平均値を求める方法です。
交線法とは粒状結晶からなる方向性の少ない組織で、整列した2次アームを選択することが困難な場合に用いられる方法であり、デンドライトアーム境界間に直線を引き、その交点数から間隔を算出する方法です。
これらの測定操作を人間がアナログで測定するのは多大な労力と時間がかかります。
そこで今回は下記のソフトウェアを使った、効率的なデンドライトアームスペーシング測定の方法を紹介いたします。
3.ソフトウェアを使った効率的なデンドライトアームスペーシング測定の方法
『画像解析ソフトウェア WinROOF マテリアルオプション』を使って、効率良く測定する方法をご紹介いたします。
本ソフトでは、上述した方法のうちの「2次枝法」で、測定結果を算出できます。
弊社の顕微鏡用カメラは、この『画像解析ソフトウェア WinROOF マテリアルオプション』に対応しており、ライブ画像中で測定を行えます。
(もちろん事前撮影した複数の画像を読込むことも可能。)
手順1
デンドライトアームスページング測定の画面を開き画像を読込みます。
この測定は複数の視野(画像)に対して行うことが一般的です。
手順2
読み込んだ画像に対して、アームスページング測定をするアーム群の箇所にマウスで”測定線”(下図、黄色枠内)を設定します。
設定した測定線上で2次アームの境界を交点として指定していきます。
手順3
測定線と2次アームの境界をクリックし、交点を追加します。(交点の自動検出機能あり)
手順4
1つのアーム群に対して交点の指定が終われば、視野内の別のアーム群にも同様に測定線の設定→交点の指定を繰返して測定します。
画面上にはリアルタイムで測定情報が更新され現在のアームスページングの値などを確認できます。 画像(視野)を切替えながら、充分な数の交点指定を行います。
補足
測定結果はExcelへ転送することも可能です。
4.まとめ
デンドライトアームスページング測定(DAS測定)などのこういった専門性を必要とする検査は、熟練のご担当者が多くの時間をかけて目視検査でされております。
本ソフトウェアを導入することで
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- ・検査負担軽減による検査時間の短縮
- ・検査の標準化
- ・検査の俗人化の改善
など、相当な効率化につながります。
また評価結果を示すレポート出力まで行うことができるので、結果報告もスムーズです。
今回使用した「画像解析ソフトウェア」については、下記の製品ページをご覧ください。
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