金属組織の結晶粒度解析
1.結晶粒度とは
金属の種類は多種類あり、その使用用途や目的に応じた適切な金属材料を選択する必要があります。
たとえば、自動車のエンジンパーツと一般的な金属パーツでは、使用する金属材料は異なります。
これは金属材料によってその機械特性(引張り・圧縮せん断等外力に対しての耐久性があるかなどの性質)が大きく異なるからです。
この金属特性を評価するためには金属組織の結晶構造を観察する必要があります。
金属組織は、結晶粒で構成された結晶構造を持つ多結晶構造です。
結晶粒と結晶粒の間には配列が乱れた領域があり、その境界が結晶粒界です。
この結晶粒の粒度(結晶粒度)は、このような金属材料の機械特性を決める重要要素となります。
一般的に、結晶粒度とは金属など材料の「結晶の粒の大きさ」を指します。
またアルミ、鉄や合金など金属の材料の種類だけでなく、熱処理をすることで金属組織は変化します。
同じ金属・合金の種類であっても、熱処理などで結晶粒は特定のパターンに並び、熱処理前とは異なる結晶粒界を形成します。
したがって、熱処理によって結晶粒度が変わり、金属の機械特性や性質が変化します。
そのため、この結晶粒度の解析は金属製品の品質保証のために重要な検査です。
・オーステナイト結晶粒
面心立方の結晶粒で焼なまし双晶を含む
・フェライト結晶粒
体心立方の化粧流で焼なまし双晶を含まない
2.結晶粒度の解析方法
①標準図と金属顕微鏡との目視比較(比較法)
金属表面を研磨などの前処理を行い、金属顕微鏡での観察を行います。
「鋼のオーステナイト結晶粒度標準図 (×100) JIS G 0551」と金属顕微鏡で
拡大した金属組織を目視で比較し、結晶粒度の粒度を推定します。
金属顕微鏡の詳細はこちら |
ですが一旦、金属顕微鏡から目を離す必要があり、面倒です。
②接眼マイクロメーターを金属顕微鏡に組込み同時観察比較(比較法)
下記のような粒度パターンが印字された、接眼マイクロメーター(レチクル)を
金属顕微鏡の接眼部に挿入しておき、拡大したサンプルと粒度標準パターンを
同時観察して目視比較し、結晶粒度の粒度を推定します。
金属顕微鏡から目を離さず同時観察比較できるので楽にできます。
株式会社渋谷光学様製 R1901 粒度スケール |
③接眼マイクロメーターを金属顕微鏡に組込み同時観察比較し算出 (計数 / 求積法、切断法)
下記のようなパターンが印字された、接眼マイクロメーター(レチクル)を
金属顕微鏡の接眼部に挿入しておき、拡大したサンプルとそのパターンが
結晶粒内を横切る際の 1結晶粒あたりの平均線分長を求め、結晶粒度を
算出するJIS G0551/ASTM E112規格に適合した方法です。
株式会社渋谷光学様製 R2010-24 鋼-結晶粒度試験法スケール(切断法) |
④カメラを使って、ソフトで粒度測定(比較法、計数 / 求積法、切断法に対応)
さらに金属顕微鏡に顕微鏡用カメラを取付け、下記計測ソフトで自動測定する方法です。
この方法だと自動で測定でき、とても効率が上がります。
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◆粒子解析ソフトウェア WinROOF 2023 Standard Materialオプション付き【JIS規格・ASTM規格に準拠!】 下記規格に準拠した結晶粒度評価ツールです。
【算出項目】 ・結晶粒度番号(比較法、切断法、計数法(求積法)が選択可能)
【レポート作成に便利!Excel出力】 ・結晶粒度の計測結果は、Excel(CSV形式)出力が可能です。
<測定表示例>ASTM(交点切断法、切片長さ比較法) |
3.まとめ
結晶粒度解析の頻度が少ないのであれば接眼マイクロメーターを使用する方法が
費用を抑えられます。
頻度が多いのであれば初期コストがかかりますが顕微鏡カメラを使ってソフトで
自動測定する方法が自動化・省力化できて、オススメです。
ソフトにはさらにこんな便利な機能もあります。
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