2025年01月06日

同軸照明とリング照明の見え方の違い

対象物によって、同軸照明が向く対象物、リング照明が向く対象物があります。

但し、リング照明の方が汎用性があります。

同軸照明は「光沢」のある「平面」で使うことが基本となります。

光沢の限界と用途別の映像を確認しました。

 

■同軸照明の特長

 

同軸照明、リング照明の違い

 

同軸照明は正反射物(光沢のある対象物)に向いている照明方式です。

正反射物に対してリング照明のような斜光がはいると、入射角と 同じ角度で反射を起こし、レンズに光が戻らなくなり、暗い写真に なります。

但し、光沢があっても凹凸やRがある対象物に同軸照明は向きません。

 

拡散反射物に同軸照明を使うと中心部のみ明るくなり(ホットスポット)、 色差のない曇ったような映像になります。

 

 

サンプル1   基板の金メッキ部分

 

 

基板の金メッキ部分

 

金属顕微鏡の照明方式(同軸照明)は、鏡面体に近い、平面物が対象です。
通常の照明(リング照明)と見え方が大幅に変わる場合もあります。

 

 

サンプル2   1円玉

 

1円玉

 

1円玉

白と黒が完全に反転します。
(鏡面に近い程、この傾向が出ます。)

 

 

サンプル3  銀メッキのコイン

 

 

 

 

上写真程度の銀メッキのコインは同軸照明でもリング照明でも観察可能です。

(完全な正反射物ではないので、両方使えます)

 

 

サンプル4  10円玉(拡散反射物)

 

 

 

10円玉は同軸照明では観察ができません。

 

 

サンプル5 基板(拡散反射物の観察)

 

 

 

拡散反射物は同軸照明では観察できません。

 

 

サンプル6 正反射物の観察

 

 

 

 

完全な正反射物(鏡面に近いもの)はリング照明では観察できません。

 

 

サンプル7   ニッケルの加工品

 

ニッケルの加工品

 

ニッケルの加工品

 

同軸照明を使う場合、拡散物は観察できないのでご注意ください。
(金属でも、黒アルマイトや塗装 等はリング照明の方がいい場合があります。)

 

 

サンプル8   紙(印刷物)

 

紙(印刷物)

 

 

サンプル9 その他、同軸照明に向かない対象物

 

 

 

 

光沢が有っても凹凸、Rのある対象物は同軸照明で観察できません。

 

 

 

 

サンプル10 シリコンウエハー

リング照明 同軸照明
ウエハーリング ウエハー同軸

 

メッキした金属ややシリコンウエハーなど「鏡面」に近いものは適正な観察ができます。

※鏡面体に近い対象物は同軸照明の効果が出やすい対象物です。

 

 

 

サンプル11 光沢のある黒色樹脂

黒色樹脂

 

リング照明 同軸照明
黒色樹脂リング 黒色樹脂同軸

 

同軸照明は色ではなく、反射率の違いが映像に大きく影響します。

黒色でも光沢があれば、同軸照明が使える場合があります。

 

どちらでも使えますが、同軸照明では色の再現はできません。凹凸はハッキリと出ます。

同軸照明の特長として、色より反射率が映像に影響します。

色に大きな違いがあっても反射率の均一(拡散反射物)なものには適しません。

 

 

 

サンプル12 プレパラート表面の指紋(油分)

プレパラート

 

リング照明 同軸照明
プレパラートリング プレパラート同軸

 

指紋は同軸照明で観察できます。リング照明ではまったく見えません。

また、埃や異物も同軸照明の方が観察しやすくなります。

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