ローリングシャッターとグローバルシャッター
目次
1. シャッターとは
2. ローリングシャッターとグローバルシャッターの違い
–ローリングシャッターとは
–グローバルシャッターとは
3. ローリングシャッターとグローバルシャターの使い分け
シャッターとは
民生品カメラのようにシャッターという概念が産業用カメラにはありません。
産業用カメラはシャッターを切るというよりも「露光時間」と「フレームレート」をそれぞれ制御するという考え方です。
露光時間は民生カメラのシャッター速度に近いものです。
産業用カメラの場合、この露光方式の違いで、ローリングシャッターとグローバルシャッターに分かれます。
物理的なシャッターでなく、露光方式の違いとお考えください。
ローリングシャッターとグローバルシャッターの違い
<ローリングシャッターとは>
ローリングシャッターは「ライン露光順次読み出し」とも言います。
1ラインから数ラインを1つのブロックにして、このブロックごとに映像を取得します。
これを組み合わせて1つの映像にします。ブロック内は同時タイミングですが、ブロックごとには若干の時間差が発生します。
CMOSカメラは一般的にはローリングシャッターです。
(CMOS素子は全画素読み出しも部分読み出しも可能です。最近はローリングシャッター・グローバルシャッターを切り替えられるカメラも販売されています。)
<グローバルシャッターとは>
グローバルシャッターは「同時露光一括読み出し」ともいいます。
全画素同時タイミングで映像を取得します。
CCDカメラは一般的にはグローバルシャッターです。
(CCD素子は部分読み出しができないので、必然的にグローバルシャッターとなります。)
ローリングシャッターとグローバルシャターの使い分け
実使用上で重要なのは下記の2点だと思います。
(1)移動体を撮影する場合
(2)ストロボ撮影をする場合
(1)移動体を撮影する場合
下記の対象物を動かしながら撮影してみます。 | |
グローバルシャッター(CCD) | ローリングシャッター(CMOS) |
|
ローリングシャッターはブロックごとに撮影時間がずれるので、映像が斜めに歪ます。
また、CMOSは残像も大きく発生します。
下記の対象物を動かしながら撮影してみます。 | |
グローバルシャッター(CCD) | ローリングシャッター(CMOS) |
移動体を撮影する場合はグローバルシャッターが向いています。 |
(2)ストロボ撮影をする場合
ローリングシャターのカメラでストロボ撮影する場合、タイミングによっては画面の一部分だけが光るもしくは一部が映らないという現象が発生します。
下写真の対象物をローリングシャッターのカメラでストロボ撮影してみます。 | |
一部が映らない現象 | 一部分だけが光る現象 |
ストロボ撮影する場合はグローバルシャッターが向いています。 |
上記の2点を考えると、グローバルシャッターがいいように思えます。
但し、ローリングシャターにもメリットがあります。
ローリングシャッターのメリットは下記の2点です。
・製造コストが安い
・高解像度化が行いやすい
■弊社のカメララインナップ
・弊社の1000万画素以上の高解像度カメラは全てローリングシャッターです。
・弊社のUSBカメラは 40万画素、130万画素、200万画素がグローバルシャッターです。
・320万画素、500万画素のグローバルシャッタータイプもございますが、GigE限定で価格も大幅にUPします。
弊社のカメラの一部をご紹介します。(他にも多数取り扱っております。)
<グローバルシャッタータイプのカメラ>
型番 | カラー・白黒 | 画素数 | シャッター方式 | フレームレート | インターフェース | 価格(税抜) |
CS42-C | カラー | 40万画素 | グローバル | 120fps | USB3.0 | 69,000円 |
CS42-B | 白黒 | 40万画素 | グローバル | 120fps | USB3.0 | 69,000円 |
CS500U-GC | カラー | 500万画素 | グローバル | 59.8fps | USB3.0 | 110,000円 |
EG320-C | カラー | 320万画素 | グローバル | 37.5fps | GigE | 115,000円 |
EG320-B | 白黒 | 320万画素 | グローバル | 37.5fps | GigE | 115,000円 |
EG502-C | カラー | 500万画素 | グローバル | 24.1fps | GigE | 157,000円 |
EG500-B | 白黒 | 500万画素 | グローバル | 23.5fps | GigE | 157,000円 |
<ローリングシャッタータイプのカメラ>
型番 | カラー・白黒 | 画素数 | シャッター方式 | フレームレート | インターフェース | 価格(税抜) |
CS500-C | カラー | 500万画素 | ローリング | 44.7fps | USB3.0 | 71,000円 |
CS500-B | 白黒 | 500万画素 | ローリング | 31fps | USB3.0 | 71,000円 |
CS1200-C | カラー | 1200万画素 | ローリング | 30fps | USB3.0 | 99,000円 |
CS1200-B | 白黒 | 1200万画素 | ローリング | 30fps | USB3.0 | 99,000円 |
CS2000-C | カラー | 2000万画素 | ローリング | 14fps | USB3.0 | 110,000円 |
CS2000-B | 白黒 | 2000万画素 | ローリング | 14fps | USB3.0 | 110,000円 |
弊社でもローリングシャッターとグローバルシャッターの違いを動画にまとめておりますで、ご参照ください。
まとめ
産業用カメラにおけるローリンシャッター、グローバルシャッターとは物理的なシャッターでなく、露光方式の違いのこと。
ローリングシャッターは「ライン露光順次読み出し」と言い、一般的にはCMOSカメラはローリングシャッターです。
グローバルシャッターは「同時露光一括読み出し」と言い、一般的にはCCDカメラはグローバルシャッターです。
(1)移動体を撮影する場合、(2)ストロボ撮影をする場合にはグローバルシャッターが向いています。