マイクロスコープの選定について
目次
マイクロスコープの選定の基準や方法は色々とあります。
1つの考え方ですが、3つのSTEPに分けて考えます。
<STEP1> 基本システムの選択
まず、下記の3点(倍率、作動距離、表示速度)を考えます。
(1)倍率(視野範囲)
顕微鏡と異なり、絶対倍率がありません。(「マイクロスコープの倍率」を御参照ください)
どのくらい視野をモニタに写せたらいいのかで考えます。
弊社では大きく4つに分けています。
●低倍率 5~50倍程度 (67.5 X 51.0mm視野~7.0 X 5.3mm視野 程度)
●中倍率 20~140倍程度 (17.5 X 13.2mm視野~2.7 X 2.0mm視野 程度)
●高倍率1 40~240倍程度 (9.0 X 6.7mm視野~1.4 X 1.0mm視野 程度)
●高倍率2 70~800倍程度 (4.5 X 3.2mm視野~0.4 X 0.3mm視野 程度)
●超高倍率 最大倍率が1000倍を超えるもの (1.5 X 1.1mm視野~0.12 X 0.09mm視野 程度)
(2)作動距離
レンズ先端から対象物までの距離です。
弊社のマイクロスコープは基本的にズームレンズ(「マクロレンズ・マクロズームレンズとは」をご参照ください。)ですので、作動距離は一定です。
その為、使用環境に合わせて必要距離を考えます。但し、倍率が高くなる程、作動距離は短くなるので物理的な限界はあります。
(3)表示速度
検査ラインや加工しながらの観察であれば、ハイビジョンタイプを選択します。
(タイムラグのないスムーズな映像が実現できます。PC不要なのも現場向きです。)
画像の保存はできますが、保存画像の読み出しにはPCが必要です。
品質管理用途 等であれば、USBタイプを選択します。PCを利用して様々な付加価値 (距離測定、一時停止、インターバル撮影、撮影した映像の一覧表示、焦点合成)を付けることができます。
勿論、映像の保存、保存画像の読み出しが1つのPCでできます。
<STEP2> 解像度の選択
解像度は基本システムが決まってから考えます。
■ハイビジョンタイプであれば
フルハイビジョンは1920×1080で固定ですが、4K(3840×2160)のものもあります。
■USBタイプであれば
130万画素CMOS、500万画素CMOSから選択します
解像度が高いカメラである程、拡大しても画像が荒くなりにくいです。 しかしデータ容量は重くなる為、 パソコンへのデータ転送速度が遅くなります。 すなわちピント合わせや位置合わせなどの動きに対してリアルタイムでの画面表示が遅れがちになります。
PCのモニタにも解像度があり、PCの画面上で観察するだけの用途でしたら、どの画素数でもあまり差はありません。
保存した画像にデジタルズームをかける場合や画像処理をする用途が多い場合は画素数が高いほど優位になります。
USB3.0はUSB2.0に比べ通信速度が速いです。
その為、ピント合わせや位置合わせ等の動きに対して有利となります。
<STEP3> 照明の選択
弊社セット品の基本はリング照明です。
高倍率になると、リング照明と同軸照明からの選択ができます。
その他に、透過照明、ドーム照明、ローアングル(暗視野観察)照明への変更または追加が可能です。
以上が基本となります。
これに斜め観察(「対象物を斜めから見たい場合の便利グッズ」ご参照)、偏光観察(「偏光観察とは」ご参照 )、 高さ観察(「高さ(Z軸)を測定する方法」ご参照)実現の為のオプション、 補助レンズ、リアコンバータ、フィルター等の光学オプション等を実際の状況に必要なものを加えていきます。
まとめ
マイクロスコープの選定の基準や方法は色々とあります。
基本的には「倍率」「作動距離」「表示速度」を考え、
その次に「解像度」そして「照明」を考えればいいでしょう。