FTO・ITOラボ

【技術解説】 FTO ・ ITO ガラス基板とは

●FTO・ITOガラス基板とは

耐熱ガラスにフッソドープ酸化スズ (FTO=Fluorine-doped tin oxide) 膜やインジウムドープ酸化スズ (ITO=Indium Tin Oxide)膜をコーティングした導電性を持つガラス基板のこと。

高い透明性を保ちつつ、優れた導電性を持つ金属膜コーティングガラスです。

用途としては液晶ディスプレイ、タッチパネルなどに用いられていますが、近年ではクリーンで再生可能な太陽光発電がクローズアップされている世の中で、色素増感太陽電池の基板材料として活用することも注目されています。

 

 

 

●FTOとITOの違いについて

大きな違いはその耐熱性です。ITOは300℃以上の焼結を行うと電気伝導率が高くなってしまい、高温では導電性能が落ちてしまいます。一方、FTOは550℃までの焼結が可能で、高温でも導電性能は落ちません。

そのため、色素増感太陽電池やペロブスカイト太陽電池などでは電子移送層や多孔質層として塗布、焼結する際に用いられる酸化チタン(TiO2)の焼結に必要な500℃という高温にも耐えられ、FTOが色素増感太陽電池やペロブスカイト太陽電池の基板材料として活用されることが多いです。

 

一方、FTOは元々の電気伝導率が高いため、FTOのコーティング層を厚くする必要があります。

そのため、ITOと比べると透明性が低下するといった点がありましたが弊社取扱いのFTOは独自技術により、

透過度を高めております。

また、FTOの表面構造は微細な凹凸構造であるため、光がガラス基板の中に閉じ込められやすいです。

そのため、必要な光を基板内から取り出すような液晶ディスプレイなどには不向きで、そのような用途にはITOの方が多く活用されています。

 

 

 

コーティング種類

耐熱温度

FTO

フッソドープ酸化スズ 
(FTO=Fluorine-doped tin oxide) 膜

550℃

ITO

インジウムドープ酸化スズ
(ITO=Indium Tin Oxide)膜

300℃

 

 

●色素増感太陽電池とは

ご家庭の屋根の太陽光発電ソーラーパネル、電卓のソーラーなどで我々が目にする一般的な太陽電池と言えば、シリコン系の太陽電池です。

 

 

一方、色素増感太陽電池とは、色(色素)を使用した新しい太陽電池です。

色素増感太陽電池はその名前のとおり、「色素」を用いることで発電します。

導電性を持つ(電気を通す)透明なガラス基板に「色素」を吸収した酸化チタン膜、電解質を挟むだけの非常に簡単な構造で生産できます。

 

既存の一般的な太陽電池には原料としてシリコンが多く使用されておりますが、その材料が高価であること、シリコン太陽電池の製造コスト、製造時のエネルギー消費量と比較して、色素増感太陽電池は低コスト、低エネルギーで生産できることが特徴です。

これは「色素」に色素溶液としてヨウ素を使用することが多いのですが、我が国、日本はヨウ素生産量が世界第2位(世界全体の約30%シェア)ということもあり、このヨウ素を「色素」として活用しやすい背景にあります。

したがって、材料が安価であり、製造時コストを抑えることが可能です。

また、透明基板を使用することができるため、色素の選択により多彩な色を見せることも可能です。

 

 

素晴らしい色素増感太陽電池ですが、現時点での課題もあります。

 

1. 起電効率がシリコン太陽電池と比較すると劣るという点

シリコン太陽電池の電気エネルギー変換効率は15~25%と言われています。

一方、色素増感太陽電池の電気エネルギー変換効率は10~13%です。

 

 

 

 

2. 耐久性や安定性

風雨や気温差などの環境を受けやすい屋外では、その耐久性や安定性が重要ですが、色素増感太陽電池は劣化が早いことです。これは一般的に普及させるため、耐久性向上の研究が進められているところです。

 

 

こういった課題はあるのですが、それにもまして、上述した材料コスト、製造時コストがシリコン太陽電池と比較して、色素増感太陽電池は低コスト、低エネルギーで生産できることで、これらの課題をクリアすべく、こぞって、研究、製品化検討をされているような実情です。

 

 

 

●色素増感太陽電池の発電原理

色素増感太陽電池は酸化チタンのナノ多孔膜に増感する色素を組合わせた太陽電池です。

光電極として使用される酸化チタンナノ多孔膜は、光を吸収すると、電荷を放出する性質があります。

酸化チタンだけでは、紫外線のみ利用しますが、可視光を吸収する・増感する色素を吸着させることで、 可視光を利用することができます。

さらに、電子を運ぶもので、光による発電素子(いわゆる太陽電池)として利用できます。

 

酸化チタンのナノ粒子を膜にしますが、その粒径はおおよそ20 nm程度のため、非常に表面積が広くなります。

酸化チタン膜の表面には、可視光を吸収させるための色素が吸着しています。

酸化チタンだけでは、もともと紫外線しか吸収できませんが、色素が吸着することで、可視光も吸収できるようになります。このことを、「色素増感」と言います。

 

色素増感太陽電池では、色素が光を吸収すると、電子を失った状態(すなわち酸化)になりますが、

酸化された色素に電子を渡す還元剤を共存させることで、色素が再び光を吸収できる状態に戻すことで一つの色素が何回も繰り返し、光を吸収することができるようになります。

 

 

 

●色素増感太陽電池の明るさと発電量

晴天時の太陽光の明るさは、10万ルクス以上であるのに対して、屋内の明るさは、1000ルクス程度です。

室内での発電出力は、屋外の1/100以下です。

しかしながら、色素増感太陽電池(DSC)は、屋内光での効率が良いと言われており、

屋外設置型のソーラーパネルの発電量が数kWであるのに対して、室内での色素増感太陽電池の発電出力は、数μW~数百mW程度です。微弱ではありますが二次電池に充電することなどで小型家電、省電力機器、ワイヤレスリモコン、光センサーなどの分野での利用・研究がすすめられています。

 

 

■■製品ページ■■

 

導電性ガラス ( FTOガラス ) NPV-CFT2-7シリーズ

導電性ガラス ( FTOガラス ) NPV-CFT16-15シリーズ

 

 

 

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